ロックなヒト

「家業と共に取り組む、スポーツへの想いから始まった挑戦」

A-FIT・ABCLaboは「ここを経由してトップアスリート生まれたら面白いよね。」

仲間とのそんな会話から始まりました。

石材業とスポーツ指導の両立を果たす横尾氏。

自分の大好きなスポーツを通じて運動能力を高めることを願って立ち上げたA-FITへの想いと、自らの家業を受け継ぐことへの決意を伺う機会となりました。

地域社会に貢献し、自身の理想を追求する横尾さんの姿に迫ります。

(横:横尾貴之  イ:インタビュア)

※A-FITABCLaboとは

地域の子供たちにスポーツを通じて成長するための機会をと、地元のスポーツ好きのメンバーの協力によって創設される。
横尾氏を含む創設メンバーは、子供たちが基礎的な運動能力を身につける場を提供し、彼らの将来に向けたポジティブな影響を与えることを目指している。

A-FIT・ABCLaboを始めたきっかけ

イ:なぜ、A-FITやABCLaboの活動を始められたのでしょうか。

横:自分はバスケットをずっとやってきて、「自分の子どもと本気の1on1ができたらいいな」と思っていました。でも、「バスケを始める前に、運動能力が上がる場所が欲しいな」と思いました。
もちろん、バスケ以外のスポーツが好きな子供もたくさんいます。
どのスポーツを初めても、スムーズにそのスポーツに馴染んでいけるように基礎トレーニングの重要性を伝えられたらな、と思いました。

イ:まずは、ご家族から始まったのですね。

横:そうです。結局、チームスポーツにしても一人だけじゃどうにもなりません。
そこで、運動に興味がある子を集めて体の動かし方を学ぶ機会になればいいなと始めたのがきっかけでした。
ただ、A-FITをスタートして2年目にコロナ禍がありました。
その影響もあり、体育館を使うことが出来なくなり、3年ほどはまともな活動ができませんでした。
そこで「いつしか自分のスタジオが欲しい」と思い始めるようになり、ABCLaboのスタジオを作るに至りました。

イ:その当時のお子さんの年齢はいくつでしたか。

横:長女が小学校1年、長男がこども園の年中でした。
それぐらいの時期は、本格的にスポーツを始めるというよりは、体づくりをして運動能力を伸ばす方が大事になります。
それに、スポーツを始める年齢って低年齢化しているじゃないですか、そうなるとスポーツを始めても何もわからず入ってくる子供もいます。
だったら、その前の身体作りをお手伝い出来たら、というのが僕らの考え方です。

色んなスポーツに挑戦するための基礎作り

イ:具体的な内容ってどんなことやるのでしょうか。

横:子供の運動能力が大きく発達する「ゴールデンエイジ」の期間は、実は初期・中期・後期の3つくらいに分かれていて、それぞれに特徴があります。
例えば、中期の部分では、神経系の運動が効果的です。簡単に言えばジャグリングとかを子供の時にやればやるだけできるようになります。
ボールの落下地点を掴む感覚を養うことで、球技をする上でスムーズな補球に繋がります。
他にも、基礎的な足の運び方とか、飛び箱みたいな飛ぶタイミングと手を出すタイミング。
そういった色々な基礎的なことを、遊びの中で身につけていけるようにしています。

イ:お子さんがいる家庭にとっては、聞けば聞くほど魅力的な場所ですね。前提の知識から教えていただくことで安心感もありますし、競技スポーツから初めていくのが一般的ですからね。

横:僕はバスケットボールも教えていますが、運動能力が高い子が入ってきたら一発でわかります。
野球でもサッカーでも同じような感覚があると思います。「この子、なんかいいな」みたいな感覚です。
それに、そういう子の方がコーチの目にもつきますし、試合に出る回数も増えるかもしれない。そうなるとスタートラインは一人一人同じじゃないですからね。

イ:褒められる機会が多そうだから、そのスポーツが好きになりますよね。

横:いいこと言いますね。

イ:ありがとうございます。何でも、成果あっての成長ですからね。

家業である石材屋について

イ:横尾石材の仕事についても、教えていただいてもよろしいでしょうか。

横:実は、石材屋が本業です。僕自身も、学生の頃から家業を継ぐということは自分の中で決めていました。
学生の時からずっとスポーツが好きで、大学も体育大学を選びました。
卒業後はすぐに石材屋は継がずに、中学校の講師として保健体育を教えていました。
そこでは、部活動も指導させていただきました。

イ:中学校で働く経験を得た上で、横尾石材を継がれたのですね。

横:そうです。家業は家業で好きでした。
そして、おじいちゃんとか親父の仕事ぶりを見ていて、大切にしなきゃいけない仕事だなと思っていました。
でも、そのどこかで「自分が好きなことも仕事にしたい」という想いもありました。
大切な仕事と、自分が好きな仕事、その両方が出来たらいいなと。
だから20代前半の頃から、その考えが頭の中にありました。
スポーツ関係は何か出来たらいいなって。実際に動き始めたのは、そこから5年ほどしてからでした。

イ:構想がしっかりあればアンテナを張って、いろんなものが見えますからね。継ごうと思ったのは、いつ頃からでしょうか。

横:10代の頃からです。

イ:おじいさん・お父さんの仕事ぶりから、何か感じるものがあったのでしょうか。

横:どこかで「僕がやらなきゃ」っていう使命感のような想いがありました。
なので、社会人になり中学校で働いていた当時も、空いている時間は仕事を手伝いながら少しずつ教えてもらっていました。
石材屋は土日も仕事があるのが普通でしたから、中学校で働きながらも手伝うことができました。

イ:石材屋は、主に墓石を扱うのでしょうか。

横:主に墓石です。8割ぐらいが墓石です。他にも、記念碑とか、神社の石畳とかもやらせていただいたりもします。
昔は、お墓の立ち位置が高いところにありました。
家を建てたり、車を購入したり、その次ぐらいにお墓がありましたが、その優先順位は若い世代ほど低くなっているように思います。

イ:需要が減ってきているのですね。でも、メンテナンスもあるなら、無くなるものでもない気がします。

横:無くなるものではないかもしれないですが、お墓って、若いうちから考えている人は多くないと思っています。
「死」っていうこと自体も、昔よりは深く考え出す時期が遅くなっているんじゃないかなと思います。

創設までの苦労

イ:A-FIT・ABCLaboについては、苦労はあったのでしょうか。

横:苦労したと言えば、大変なことは幾つもあるのかもしれませんが、とにかく動いていました。
止まりたくても止まれない状態で、今も苦労しっぱなしですよ。
こう見えて、本当に大きい子供なので、思い立ったらすぐに始めてみるのを大事にしています。
なので、妻にはいつも事後報告なので呆れられていますが。

イ:いいんじゃないですか。常にチャレンジしている姿は魅力的ですよ。
本業の石材屋とA-FIT・ABCLaboのどちらの仕事も両立しているのもすごいですね。

横:A-FIT・ABCLaboは、そもそも仕事と思って始めてはいませんでしたから。
今でもA-FITはスポーツの入口という位置付けの遊びの場であり、ABCLaboは、それをもっと深く突き詰めている場所です。

イ:Instagramで拝見しました。スラックラインとかもありますよね。

横:そうそう。あれはバランス感覚が養えます。

イ:ちなみに。ここのスタジオにはボルダリングがあるじゃないですか。
これは、横尾さんがボルダリングを好きだからなのでしょうか。

遊びながらトレーニング

横:特にボルダリングにこだわっているわけでもないですよ。
ただ、この施設内にいろんなことができる遊び場を作りたくて、その中の一つがボルダリングなだけです。
ボルダリングは、指先・足先を使うので脳にもいいし、指先の感覚が研ぎ澄まされます。

イ:すごい。指先の感覚は色々なスポーツに繋がりそうですね。

横:あと、動けなくなるのも大事です。
一つ一つのカラフルな石を登っていくのですが、自分の限界のポジションになると動けなくなることがあります。そこをキープするだけで体が強くなるし、筋力もつきます。
そうやって遊んでいるだけでトレーニングになる最高の遊びだと思っています。

イ:結構頭も使いますよね。登る前にどうやって登るかイメージしたりなど。

横:体のちょっとした向きや足のかけ方も考えますよね。
日常生活は、歩く場合も、走る場合も、体をクロスする動きが多いのですが、ボルダリングはどちらかと言えば右足右手の連動の動きを使うことが多くあります。

イ:確かに、そうですね。

横:そんな日常生活とは違った動きがトレーニングにも繋がっていきます。

イ:なるほど。確かに、普段しない動きはトレーニングしないと身につかなそうですね。

横:スクールでは、1時間ずっとボルダリングだけをしているわけではありません。
バランス感覚や、目のトレーニングも行います。
目のトレーニングはビジョントレーニングって言って、自分やスタッフの数名が資格を持っています。
目が使えてないとバランスを取るのにも苦労しますし、集中力にも影響があります。
例えば、常にキョロキョロして落ち着きがないお子さんにも効果がありますよ。
他のことに集中が向いてしまうのは視点が定まらないのが原因な場合もあるので、トレーニング次第では治すことが出来ます。

イ:すごいです。そんなところにまで効果があるのですね。

横:スポーツだけでなく、日常生活も目で見た情報が、もう9割以上とも言いますからね。
ビジョントレーニングは学校でもやっている場所はありますし、日常的になればいいのにと思っています。

イ:例えば、家でも取り組むってことですよね。

横:そうです。でも、子供って親の言うことってなかなか聞かないですよね。

イ:そうですよね。
だから、やっぱ第三者の方から教えてもらえるのは有り難いなと思います。

地元への想いと展望

イ:A-FITもABCLaboも、頭文字の「A」はAGATSUMA(吾妻)の「A」なのでしょうか。

横:AGATSUMA(吾妻)の「A」ですよ。今のメンバーは8人ですが、最初は吾妻地域の中の4人で始めました。
「吾妻から、ここ(A-FIT・ABCLabo)を経由してトップアスリート生まれたら面白いよね」という想いがあったので、少しでも関わった子が良い成績を残していってくれたらいいなと思ってます。

イ:スポーツの一種目ではなく「アスリート」という大きな枠として捉えることで今までにはなかった価値を生み出せているように思います。

横:僕がバスケットボールを好きだからといって、みんなにやらせたいっていうわけでもありません。
A-FITやABCLaboに来てくれている子でも、野球やテニスやバレーや柔道等をやっている、いろんな子が来てくれますけど、いろんな子を見ることで、こっちも教えていただくことも多くあります。

イ:運動を通じて様々なところまで考えられていてすごいです。

横:それも、自分が好きなことだからですかね。
20代ぐらいの時は、ミニバスとか中学校や高校で教えたいなと思っていました。
でも、地元の現状を見て、バスケだけを教えていても、いつか人いなくなるのではと思うようになりました。
だからこそ、まずはスポーツの入口をしっかりした上で、スポーツを好きな子が増えたらいいなと思い始めました。
A-FITは小学校4年生までなので、それ以降は好きなことを始めてくれればいいなって思っています。

横:4年生までにある程度のことは教えるから、通いながら他のスポーツを始めてくれたらいいなって。

イ:そうやって始めたスポーツから「いつかトップアスリートが生まれたら面白いよね」という目標に繋がっていくと思うと、色んな可能性が想像できて素敵ですね。
横尾さん達のこれからの吾妻地域の未来を見据えた取り組みが楽しみです。

【 横尾石材 】

<住所> 群馬県吾妻郡東吾妻町植栗695-6

<TELL> 0279-68-3033

 

【 A-FIT & ABCLabo 】

<住所> 群馬県 吾妻郡中之条町伊勢町 7-1

<URL> https://tol-app.jp/s/abclabo

<Instagram> https://www.instagram.com/abclabo.co

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