ロックなグルメ

清掃業からキッチンカーへ:新たな夢の実現

沖縄出身の島袋さんは、両親の故郷・久米島の特別なお菓子”さーたーあんだぎー”をキッチンカーで販売しています。

会社としてのメインの事業はホテルや旅館の清掃ですが、久米島でおばあちゃんが作っていた”さーたーあんだぎー”をもう一度作りたいと思ったのがきっかけでした。

島袋さんの、キッチンカーを通じて地元の人々と繋がっていった様子や、地域の人たちに愛されるキッチンカーへの想いを伺う機会となりました。

(島:島袋 イ:インタビュア)

 

清掃業から生まれたキッチンカー事業

イ:M&Sさんは、ホテルや旅館などの清掃業からキッチンカーまで取り組んでいると伺っています。
キッチンカーで”さーたーあんだぎー”を販売されているのは何でなのでしょうか?

島:それは両親が久米島出身なのもあって、祖母が作ってくれた”さーたーあんだぎー”をもう一度復活させたいと思ったことがきっかけでした。
久米島は沖縄本島から飛行機に乗ると20分ほどの距離で、島を一周するのにも頑張れば車で30分ぐらいで終わってしまうような大きさです。
人口も7,000人ほどだったと思います。
スーパーなどのお店もあるのですが、車はほとんど通らないので、東吾妻町が都会に感じてしまうほどです。

イ:そうなんですね。

島:そこで、20年ほど前まで父方の祖母が久米食品という名前で商売をしていました。
40年ほどの間、”さーたーあんだぎー”や沖縄でムーチーという餅、巻き寿司などを作って、販売していました。
久米島の空港や、スーパーにも納品することで生計を立てていました。
僕からしても、朝から仕込みして夜中まで働いている姿を見て育ってきたのを今でも覚えています。

おばあちゃんの味を復活させたい

島:当時は、離島ブームがあったこともあり、とにかく量がたくさん売れていたと聞いています。
ブームが去ると生計が成り立たないことで商売はそこでやめてしまったのですが、レシピだけは残してくれていました。
それを僕が2年前にキッチンカー始めた際に、「もう一度作りたい!」と思い、久米島まで行って、現地の親戚の方に作り方とレシピを教えてもらいました。

イ:わざわざ取りに行かれたのですね。

島:もちろん、帰ってきてからも試行錯誤して、再現しながら何とか販売するところまでいくことができました。
”さーたーあんだぎー”は沖縄での子供のおやつでもあるので、キッチンカーを見かけた小学生とか中学生ぐらいが来た時に、お小遣いで買える値段でありたいというのがコンセプトの一つでもあるので、一個100円で販売しております。

イ:確かに、今の世の中で手づくりのお菓子が1つ100円なのは安いですね。

島:あとは子育て世代の方に買ってもらえたら嬉しいなと思っています。
子育て世代をみんなで支えるという意味でも、手軽な値段でありたいなと。

イ:いただきましたが、思ったよりも大きくてボリュームありますよね。

島:本場だともっと大きいので、少し小さいくらいのサイズです。
黒糖をふんだんに使っていたり、大事にしているので原価は結構かかってしまうので、費用を考えると難しい部分もありますが、何とか続けていこうと思っています。
継続していくことで他のキッチンカーとは違う「沖縄らしさ」が伝わればいいなと。
2024年4月から中之条ガーデンズの中にある珈琲屋さんで珈琲とセットで出してもらっていますので、ぜひ一度食べに行ってみてください。

キッチンカーの魅力

島:僕の場合は、東吾妻町へ移住した上での悩みの一つに「友達が少ない」ということがありました。
社会に出てからだとなかなか友達ってできないじゃないですか。

(旅館や事務所などの清掃をひたすらやっていた時は)
でも、2年ほど前にキッチンカーを始めたことで、同業者の方との繋がりが増えてきました。
出店したらある意味ライバルにもなりますが、お互いの気持ちもわかる仲間のような感覚にもなります。
もちろん大変なことも多いですが、今が一番楽しいとも思えるので、本業の清掃業もしっかりやりながらキッチンカーは何とか続けたいですね。

イ:確かに、ちゃんと収入源が確保できているから出来るチャレンジですからね。

島:キッチンカーの楽しさを知ってしまった以上は定年後もやりたいなと思っています。

イ:すごいですね。まだまだ30年くらい先ですよね。

島:知り合いになったキッチンカー仲間で、70代の夫婦で協力して営業されている方がいらっしゃいます。
その方はSNSで発信しなくても地元の人々に支えられ、多くのファンがついている姿がとても魅力的に見えました。

将来の展望

島:自分たちのペースで営業しながら地元の人に愛されていたり、手作りのメニューや手書きの文字は温かみを感じさせるのも魅力的だなと思いました。
時期によってメニューを変えるなど、常にチャレンジしている姿も素敵でした。
色々なキッチンカーの方がいて、どの方も素晴らしいのですが、ご夫婦で営業されている姿を見て、自分もこうなりたいなと思ったのです。

有名なキッチンカーになるために多くのイベントを回る方法もありますし、それはそれで楽しいとも思うのですが、それだといつかは疲れてしまうのではと思う自分もいます。
その夫婦の本当に楽しんでいる姿は印象的で、一つの地域で愛されることが長く続けられる秘訣なんじゃないかなと思うようになったのです。
キッチンカー事業に関われたことで、自分にとっての理想を見つけられたことが一番良かったことかもしれないですね。

地域に根付くキッチンカーに

イ:東吾妻町に移り住んでみて感じたことはどんなことがありますか?

島:東吾妻町に住んで五、六年ほどになります。まだ住み始めてからそれほど経っていませんが、この地域の温かさを感じています。
この建物も、地域の人とのつながりのおかげで見つけることができましたし、こうやって毎日の仕事をいただけていますから。

イ:周りの方と協力できているのは素敵ですね。東吾妻町の好きなところはありますか?

島:東吾妻町の好きなところや良いなと思うところは、人々の温かさと住みやすさです。
沖縄出身の私ですが、関東の人々の話す速さやお互いへの気遣いの波長が合うと感じています。着飾らない落ち着いた雰囲気があることで、住んでいて気苦労しないのもこの町の魅力の一つだなとも思っています。
これからも東吾妻町で、地域に根ざしたキッチンカー事業を続けていきたいですね。
地元の人々に愛される存在になれるよう、努力を重ねていくつもりです。

イ:これからの島袋さんの活動も楽しみですね。今日はありがとうございました。

 

情報

【株式会社M&S】
<住所> 群馬県 吾妻郡東吾妻町小泉285-1
<URL> https://m-hand-s.com/
<TEL>0279-25-8135

【やんばでクイナ】
<Instagram> https://www.instagram.com/yanba_de_kuina_shimabukuro?igsh=MzRlODBiNWFlZA==

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