ロックなヒト

「公務員の視点から見る、地域社会への想い」

2023.10.11

東吾妻町で公務員として働く佐藤祐介さん。町役場での彼のキャリアは、地元への愛情と貢献したいという思いから始まりました。

一般企業の道もあったかもしれませんが、地域社会への奉仕を志し、行政の道を選びました。町での繋がりを感じる中で、地元での恩返しを果たしたいと強く願う佐藤さん。

公務員としての仕事は多岐にわたります。佐藤さんの場合は、町民課から始まり、その後はまちづくり推進課で商工・観光に携わり、建設課で道路の改良工事に取り組むなど、様々な分野で活躍しながら、アンダー35というチームで地域振興にも関わることで役場の仕事を地元の人々に知ってもらう努力を続けています。

そんな佐藤さんの公務員としての魅力と責任を伺う貴重な機会となりました。

町役場で働こうと思ったきっかけ

イ:佐藤さんの役場で働き始めたきっかけなどを教えていただけないでしょうか。

佐藤:地元に貢献できたらなという気持ちが出てきたのがきっかけでした。
一般企業の選択肢もあったのですが、地元に一番近い業種は行政だと思ったんです。

イ:地元に住み続けるのも一緒に選んだのですね。

佐藤:地元の人にもお世話になる中で、ここに住み続けたいなと思ったんです。
旧東村の時からの地域の繋がりを感じるたびに「こういう職場がいいな」と思っていながら、自分も地元に恩返しできればなと思ってます。

イ:地域の人への恩返しって素敵ですね。始めはどちらの課に配属されたのですか。

佐藤:初めて配属されたのは町民課でした。ただ、町民課と言っても「環境対策係」という仕事でした。
町民課というと、例えば住民票や戸籍を出したりするイメージですが、「環境対策係」は、主に環境保全が目的の係であり、東北の大地震のあった翌年に入職したので、特に当時は放射能の関係で、除染をどうするのか?など忙しい時期でした。

イ:逆に町民課の窓口みたいなのはやらなかったんですか?

佐藤:ほとんど除染、除染という感じでした。後は、道路で轢かれた動物の死骸を処理したり。

イ:そういう役場の一つ一つの情報も、一般の方は知らないので貴重ですよね。

アンダー35について

佐藤:今、アンダー35という役場職員の35歳以下が集まって動いているチームがあるのですが、そこで役場で何をやっているかをまとめています。
もっと、役場の仕事を知ってもらいたいなと思います。

イ:アンダー35は何名くらいいるのですか。

佐藤:30名くらいです。各課2人ずつくらいは参加しています。

イ:どんな話し合いをしているのですか。

佐藤:「若い人の意見で町を盛り上げていこう。」というところからスタートしました。
でも、意見を言うだけでは結果に繋がらないので、だったら形にしていこうよ。と思って、色んな企画をしています。
役場の紹介もそうだし。新しいデビルズタンバーガーの開発や、町内の飲食店紹介とか。他にも、町のSNSアカウントでの発信もしています。

イ:それだけの人数であれば、担当とか、チームがあったりするんですか。

佐藤:主に4つに分かれていて。そのうちの一つでは役場の仕事を紹介しています。

イ:現在、アンダー35のリーダーをされているとも伺っているのですが。その中で気付くことなどはありますか。

佐藤:たくさんの先輩方の意見も勉強になりますが、後輩達の意見は違う視点を持っていて新鮮で貴重だなと思います。

イ:例えばどういう意見があるんですか。

佐藤:ツール系で、こういうの使ったら便利ですよーとか。元から知っているアプリでも知らない機能を知っていたりとか。
他にも、若い人の方が実は町のことをしっかり考えているんだなと思う機会も良くあります。
僕自身は、町がどうなるとかを考えていなかったのですが、しっかり考えているのを感じますし、それに刺激されて自分も頑張らなくては。と励まされます。

イ:後輩達からも意見をもらいつつ、成長する機会があるんですね。

地域政策課(まちづくり推進課)での経験

イ:町民課の後はどちらの課に配属となったのですか。

佐藤:今で言う「まちづくり推進課」の商工・観光のことをやっていました。その時は「地域政策課」という名前でした。
でも、新しく出来た課だったので、何をすればいいのかわからず大変でした。

イ:新しいことは、どうしても手探りになってしまいますよね。

佐藤:地域振興って言えば、なんでも地域振興だけど、何をするんだろうと考えてましたね。

イ:結局何をやったんですか。

佐藤:最初に担当したのは、観光地にトイレを建てることでした。

イ:公衆トイレですか。

佐藤:そうです。例えば、岩櫃山にあるトイレです。
ただ、建築もやったことがなかったので、まず何から取り組めばいいかもわからず、色々勉強しました。予算はついていて、建てる場所も決まっているけど、どのように段取りをとればいいのか。設計を依頼する上で、どう指示をすればいいのか。などです。
個人的に色んなトイレを回って勉強しました。それまで、公衆トイレなんて気にしたこともなかったので、いろんなのがあるんだなって勉強になりました。
とにかく、やることはたくさんありました。
東京都の杉並区に野菜を持って行ったりとかもしました。

イ:聞いたことがあります。今でもやっていますよね。

佐藤:今でもやっています。ただ当時は「誰が現地に行くか」「持っていくものは何か」など、手探りで勉強しながら進めていました。

イ:実際に杉並区まで行かれたんですか。

佐藤:もちろん行きましたよ。朝の4時とかに起きて、夜の7時くらいに帰ってきて。結構大変でした。
結局は、野菜を持っていく必要があるので、日帰りで収穫した野菜を運ばなきゃだったんですよね。夜に伺わせていただいたりなど、農家さんにもすごくお世話になりました。
今は、そこから改善して役割分担もしっかりしてますよ。

イ:売っていて反応はどうだったんですか。

佐藤:びっくりするくらいすぐに売れて。買ってくれた人も「すごい新鮮!」って喜んでくれました。
実は、杉並区の中では「東吾妻町」って言えば有名で、ファンの人もいるくらいなんですよ。

イ:そうなんですね!

佐藤:「欲しかったんだよー!」って言われたりもしました。
めちゃくちゃ反応が良いんですよ。
大変でしたが楽しかったですね。それこそ飛ぶように売れていましたし。一日が終わったあとは、本当に疲れましたが。

建設課での町の基盤をつくる仕事

イ:今は建設課なんですよね。異動はどれくらいの間隔なんですか。

佐藤:だいたい3〜4年くらいですね。
建設課は4年目です。

イ:では、建設課のことも大体わかってきたかなってタイミングなのでしょうか。

佐藤:まだまだですよ。今は、道の工事の担当をしているんですけど。道路の幅を拡げたり、直したりとか。
それこそ来たばかりの時は、何にも知らない。モノの名前すら知らない状態でした。

イ:確かに、一般の企業だとしても業界が違いますもんね。

佐藤:なんで、ここに来たのかなって最初思ってしまうくらいでした。
一つ一つの部品の名前はもちろん、色んな種類もありますし。一から勉強し直しました。

イ:建設課って、道路なんですね。
実際に役場の方に聞いて初めて知りました。建物がメインだと思っていました。でも、確かに道路は町民にとっての重要な生活の基盤であるし、お金もかかる部分ですよね。

佐藤:道路以外なら町営住宅とか他のものもありますよ。自分は道路の担当ってだけで。
旧庁舎跡地をどうするのかも考えなくちゃいけませんし。結構やることがありますよ。

イ:地域の連携が大事だと思うのですが、各地区ごとに頼れる民間の方がいるんでしょうか。

佐藤:もちろん、そうですよ。
個人的には僕みたいな若造に対しても親身になって聞いてくれるのは本当に有り難いです。

イ:各地区にそういう方がいるのは心強いですね。
町民の立場からすると「役場がやってくれるから大丈夫」と思ってしまいがちですが、それを「自分達で」と思って協力してくれる人達がいるのは素敵です。

佐藤:確かに、道路の問い合わせはたくさんありますからね。
もちろん全部を何とかしたいのですが、財源は限られていますし。

イ:例えば、道路の工事っていくらくらいかかったりするんですか。

佐藤:道路の改良工事で言えば、設計や測量などもしなくてはいけないので、300メートル程でも一億円近く必要だったりします。また、場所や条件によって大きく変わりますが、電柱の移転だけで何千万もかかるケースもあります。

イ:電柱だけでそんなにかかるんですね。

佐藤:出来る限り壊さないようにしてモノをできるだけ作らないようにして、最低限の状態にするのでも結構かかってしまいます。

佐藤:工事金額って基本的に高いので、短い期間でバッとできれば一番いいのですが。
予算の都合があるので、3〜4年ほどの時間がかかってしまうんです。

イ:金額を知らないでクレームを言ってしまう人もいると思うのですが、それを「町の税金の◯◯万円を使うなら、ちょっと考え直してみよう。」とかにも繋がりそうですよね。

目指している姿について

イ:役場って色んな課に異動するじゃないですか。
でも、公務員は「安定」をイメージして入る方もいると思うのですが。実際に入った時のギャップとかってどうでしたか。

佐藤:色んな部署に行くにつれて、勉強になりますが、行った先々で一から勉強しなくてはいけないのが大変でした。それは最初の印象とは違ったところですね。まさか、こんなにたくさんの仕事をしているんだなって。

イ:やってて良かった瞬間は、どんな時ですか。

佐藤:地味でも自分たちの結果を喜んでもらった時ですね。工事も、当たり前に進んでいるように見える中で「ここの道を作ってくれて、ありがとう。」って言ってもらえたりした時は本当に嬉しいです。

イ:そう言ってくれる方もいるんですね。

佐藤:ちょっとした労いの言葉かもしれないですが、何かしら貢献出来ているのかなって実感できる瞬間にやりがいを感じますし、そういう瞬間が一番嬉しいですね。

イ:佐藤さん的に、もっとこうしていきたいなどの展望や課題などはありますか。

佐藤:まずは、旧庁舎の跡地利用をする上で若い人が気軽に集まったり、仕事をする空間があればいいなと思っています。
例えば、物件を探している方と、物件が空いているけど誰に相談すればいいか迷っている方が、集まって話し合える場があったらいいなと思っています。

イ:公式でなくとも町のことについて、話し会える場ってことですよね。

佐藤:まずは、適当な感じでもいいと思うんです。それが、役場なのか、お店なのか、どこなのかっていうのまで考えていないのですが、そうなったらいいなとは思います。

イ:最後に後輩達へ何かメッセージがあればお願いします。

佐藤:町役場は、例えば県庁よりも、より住民に近い存在です。
僕も、地元に戻ってきた友達にも、役場に勤めているっていうだけで頼りにされたりもしますし。
その上での目標にもなるのですが、近い立場で働けるからこそ、地元の人たちに頼られる職員でありたいと僕は思っています。

情報

東吾妻町役場の情報

<住所>〒377-0892 群馬県吾妻郡東吾妻町大字原町 1046

<問い合わせ> 0279-68-2111  メールアドレス:info@town.higashiagatsuma.gunma.jp

<開庁時間>8時30分~17時15分 月曜日から金曜日(土日祝日を除く)

<ホームページ>
https://www.town.higashiagatsuma.gunma.jp/www/index.html

<マイロックタウン東吾妻:Instagram>
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<マイロックタウン東吾妻:X>
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(インタビュアー:富澤雄河)

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