ロックなバショ

山奥のメダカ屋で考える、売ることと育てること

群馬の山奥、泉沢で営まれる清水敦士さんのメダカ屋は、ちょっと変わった場所。店舗も駐車場もなく、販売はネット専用。それでも、山の湧き水で育つメダカたちは、多くの人を惹きつけています。

趣味で始めた熱帯魚飼育がきっかけで、自然とメダカの魅力に目覚めた清水さん。

「やってみたら意外と面白くて」と語る彼の姿には、自然とともに暮らす楽しさがにじんでいます。

今回は、清水さんのメダカ愛と、山の恵みから生まれた新しい暮らしの形に迫ります。

(清:清水敦士さん イ:インタビュア)

メダカ屋あっちゃんこと清水敦士

イ:「清水さんのメダカ屋、ネット専用なんですね。最近だと、直接行きたいっていうお客さんもいるんじゃないですか?」

清:「ええ、ありますよ。この間も、友人から紹介された方が『直接見たい』って連絡をくれました。でも、うちは駐車場もなければ販売員もいない。『お店に誰もいないじゃん』ってなりかねないんです。」

イ:「確かに、山奥だとアクセスのハードルも高いですもんね。でも、それでも来たいっていう人がいるのは、清水さんのメダカの魅力が伝わってるからじゃないですか?」

清:「そう言ってもらえるのは嬉しいですね。将来的には、実店舗を構えて、もっと多くの人に楽しんでもらえる場を作りたいと思っています。ただ、現状はネットでの販売がメインですし、それが一番効率的なんです。」

イ:「でも、この空間を見てると、ただの販売所じゃなくて、親子で楽しめるようなエンタメ的な要素を加えたら面白そうだなって思いますね。」

清:「その発想、いいですね。販売だけじゃなくて、メダカの魅力を知ってもらう体験の場にするのはアリだと思います。」

メダカ屋を始めたきっかけ

イ:「ところで、清水さんがメダカ屋を始めたきっかけって何だったんですか?」

清:「もともとは会社員時代に趣味で熱帯魚を飼っていたんです。でも、部屋中が水槽だらけになっちゃって、外で飼いたくなったんです。だけど熱帯魚は外飼いに向かない。そこで『メダカならいけるかな』と思って飼い始めたのがきっかけです」

イ:「メダカって小さいけど、よく見ると本当に綺麗ですよね」

清:「そうなんです。特に最近の品種はすごくて、体の色だけじゃなく、ヒレがキラキラしてたり、長かったり。見てるだけで癒されるんです。でも、1匹何千円もすることがあるんですよ」

イ:「え、1匹でそんなに!?」

清:「驚きますよね。だから、もっと気軽に買える価格でメダカを提供したいなって思ったんです。そこから事業を始めることを考えました」

いつの間にか囲まれていた自然の恩恵

イ:「事業として始めるにあたって工夫されたことはありますか?」

清:「実家のスペースを使ってるので土地代はゼロですし、水道もこの地域の湧水を使っています。おかげで水道代もゼロ。それに電気はソーラーで賄ってるので、電気代もかかりません」

イ:「それはすごいですね。この土地ならではの強みですね」

清:「本当に恵まれてます。湧水も豊富で、飲んでも美味しいし、メダカの飼育にも最高の環境です」

「恵まれているという意味では、町の補助金制度も助けになりました。ハウスを建てたり、飼育容器を揃えるのに活用させてもらいました。県の補助金と比べると手続きもシンプルで、金額も他の地域より多く正直ありがたかったです。東吾妻町って、実は開業しやすい町だと思いました」

苦難と学び

イ:「順調に見える清水さんのメダカ屋ですが、これまでに大変だったこともありますよね?」

清:「ええ。最初の年にハウス内の水温が60度近くまで上がってしまって、数千匹のメダカが全滅したことがありました」

イ:「それは…つらいですね」

清:「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、その失敗を活かして、水温管理を徹底するようになりました。あと、その時思いついたのが卵の販売です」

イ:「卵ですか?」

清:「そう。メダカの卵って丈夫なんです。割れにくいし、取り扱いも簡単。それをネットで売り始めたら結構売れて。それが立て直しのきっかけになりました」

東吾妻町への想いと今後のビジョン

イ「最後に、東吾妻町の魅力について教えてください」

清「やっぱり自然ですね。例えばこの地域でも、川で魚やカニを捕まえたりして遊んでたんです。これって都会じゃ味わえない体験ですよ。それに、補助金のような町の支援も厚いし、周りの人も応援してくれる人が多い。こういう環境があるから、今の自分がいると思ってます」

イ:「今後は、この場所でどんな展望をお持ちですか?」

清:「メダカ事業を拡大するだけじゃなく、他の水生生物や農産物も手掛けていきたいですね。カラーシュリンプや水草、さらにはアスパラやイチゴにも興味があります。自分が楽しいと思うことを仕事にしていきたいんです」

イ:「幅広いですね。でも、それが清水さんらしい」

清:「飽き性なんですよ。でも、その分いろんなことに挑戦したくて。それが結果的に仕事に繋がったら最高だなって思います」

イ:「清水さんの話を聞いていると、本当にワクワクしてきます。この場所でどんな未来を描いていくのか、これからも楽しみです」

ーーーー情報ーーーー

【メダカ・水草 SAWG】

<住所> 群馬県吾妻郡東吾妻町泉沢

<電話> 090-5210-8629

<アドレス>dunshiqingshui06@gmail.com

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