2023.05.25
両親の代から受け継いだ「しあわせいちご」を育てている茂木農園の茂木将(マサル)さん。
今回は、茂木農園が情熱を注いで育てている苺のお話を中心にインタビューをさせていただきました。
・付加価値をつけるための色々な取り組み
・東吾妻町の特産品作り
・町に思うこと
・今後の展望について
など、同じ町に住んでいてもなかなか知ることのない茂木農園さんの活動や、取り組んでいる上での意味が少しでも伝わる機会になればと思います。
(茂:茂木農園 イ:インタビュアー)
イ:まずは、お仕事のことを伺わせてください。
茂:うちでは、メインで苺をやっていて、他にもお米・サツマイモ・蕎麦を育てています。
イ:育てているものの特徴や思い入れなどがあれば教えてください。
茂:特徴や思い入れというよりも「お客さんが喜んでくれるものを作る」っていうのがスタンスとしてあります。苺で言えば、親の代から来てくれているお客さんもいるし、それを引継いで拡げていくのが自分の役割。思い入れというならの、代々続く味を守りつつ、もっと美味しい苺を作らないといけないなという実感と使命感の中でやっています。
イ:どのようなお客さんに人気があるんですか。
茂:草津などへ観光にいらっしゃったお客さんがお土産にたくさん買っていってくれますね。県内・県外含めて、毎回来てくれる方もいらっしゃいます。
イ:吾妻に来たら、茂木農園さんの苺を買おうと目的を持って来てくれる人が多いんですね。
イ:代々、農家をやられているんですか
茂:代々って言っても、親父たちの代からですね。40年くらいでしょうか。
イ:親父さんの代を受け継いだ形なんですね。生産者を始めたきっかけはありますか。
茂:実は、農業高校の臨時職員として働いていた時期があったんです。中学・高校の時から家の仕事も手伝っていたから、割となんでも出来たんですよね。
農業高校の農園で5年ほど勤めた上で「もうそろそろいいかな」と思っていたところで、親の手伝いをした時に「これは商売に繋がる」と実感し、本格的に家の仕事を継ぎ始めることを決意しました。
イ:よく聞く話としては「継ぎたくない」という話もあると思うのですが、そういう気持ちはなかったですか。
茂:全然なかったですね。でも、妻にはそれがありましたよ。
元々、妻は中之条の美容室で働いていて「農家の嫁はちょっと…」という気持ちがあったようです。
イ:それは、奥様ですか、それとも親御さんですか。
茂:親もですが、妻自身がですね。親としては長女として跡取りとしても期待されていたのもあって、とられちゃうかもしれないという危機感でしょうか。
今は妻の妹がお店をやってくれています。実は、その時は「私より良い人がいるんじゃない?」と、毎回断られていましたが、何とか一緒になることが出来ました。
妻のことを思って「お店を手伝ってあげて欲しい」と伝えてはいたのですが、妊娠と出産を機に家にいることが多くなると、農園の仕事を見る機会も多くなりました。
そこで「美容室より農園の方が人手が必要だ!」と思ってくれたらしく、それから手伝ってくれています。
畑仕事もあるので泥まみれになったりしながら、苺ならではの華やかさがあることや、自分達で作って自分達で販売する上でのやりがいみたいなものを感じてもらえたようです。
本当に有り難いなと思っていますし、これからは、妻の方が茂木農園の顔になって欲しいなと思っています。
イ:奥様が農園の顔とはすごいですね。それだけ期待されているのはなぜでしょうか。
茂:妻は、直売所前ののぼりや箱やロゴのデザインとか、どうやったらお客さんが「ここの苺を買ってみたい」と思ってもらえるか、足を運んでくれるのかを考えてくれて、今では色んな指示を出してくれています。
イ:SNSの発信も奥様がされているんですか。
茂:そうです。最初は僕がやっていましたが、なかなか農家の仕事をしながら両立させるのは難しく、そんな時に妻がSNSに力を入れ始めてくれて、Instagram・Facebookのどちらも500名以上の方にフォローしていただいています。
僕が良いものを作って、妻が発信する。自然とそんな役割になっていきました。
イ:作る人と発信する人で役割があって、二人三脚で頑張っている姿は素敵です。茂木農園さんのロゴとかはどのように作られたのでしょうか。
茂:あれは友達が作ってくれたんですよね。普通に市場に出してしまうと、苺の価格ってあってないようなものなんですよね。だから。独自の方法で売っていかないといけない。
イ:それが自分たちで売っていくことにも繋がったんですね。
茂:そうです。目立たないとどうにもならないし、直売所に入ってもらわないとどうにもならないので、どうすればいいのか試行錯誤しましたね。
イ:茂木農園さんのサツマイモのシルクスイートを享受した丸源清月堂さんのどら焼きがあるじゃないですか。そのエピソードを教えていただけますか。
茂:この直売所にはジャムも並んでいるじゃないですか。実は、ここの店頭に色んなものを置きたかったんです。その上で、東吾妻町の特産品を作りたいという気持ちがあって、芋の餡子なんかはどうだろうと思ったんです。
そこで、元々知り合いだった丸源清月堂さんにお願いして「じゃあどら焼きをやろうか!」という流れで、商品化することになりました。
イ:なぜ、東吾妻町の特産物を作ろうと思ったんですか。
茂:お客さんがお土産で何を買っていこうかと思った時に何も思いつかないのは寂しいじゃないですか。何なら喜んでもらえるだろうと考えた時に、わかりやすいものを作りたいなと思ったんです。
イ:東吾妻町だけの話でもなく、お土産の原料とかを見たときに、結局は町のものを使っていないことって多いじゃないですか。だから、このどら焼きを初めて見たときには感動しました。
茂:そうなんですよね。僕は、まだまだ売れる可能性があるんじゃないかと思っています。
イ:Instagramを拝見させていただいた時に、幼稚園児との農園体験みたいな投稿があったのですが、園児のための畑を茂木農園さんがやられているのですか。
茂:あれは、幼稚園でのサツマイモ植えやジャガイモ植えを一緒にやっているんです。
畑は幼稚園の近くの畑を借りて、そこで色々な作物を植えているんです。
イ:園児たちが植えた野菜がちゃんと収穫できるようにみてあげているんですね。
いつ頃からやられてるんですか。
茂:それも親父の代からですね。何十年前かな。
イ:それも受け継がれているんですね。すごい!
僕はインスタで知りましたが、発信されるずっと前からやっていたなんて。
茂:そうなんです。
例えば、レタスを植えたら「買ったレタスは食べないけど、ここのレタスは食べてくれる」なんてことも言ってもらえたりすると嬉しかったですね。
イ:いいですね。自分たちが植えた野菜を食べるのは格別ですもんね。
イ:今後、東吾妻町がどうなってほしいか。考えていることがあれば教えていただければと思います。
茂:もっと沢山の人に来て欲しい。
北軽井沢とか草津とかって、観光客が多いけど、そんなに東吾妻町も変わらないと思うんですよね。何か一つでも目的になるものがあればいいのかなと思っています。
移住もそんなに簡単なことじゃないし、まずは足を運んで欲しいなと思っています。他にも、町が潤わなきゃだめ。町が黒字になって欲しいなと思います。
補助金とかではなく、町自体が自分たちのお金が作れるようになったらいいなって。
イ:補助金に頼るのではなく、町に価値を感じてくれる人が増えることで、お金を払う人が増えていったらいいですよね。
茂:でも、それは町の職員さんに期待するだけでなく、町としての方向性として思います。
イ:茂木農園さんとして、どのように貢献したいとかはあるんですか。
茂:さっきの幼稚園での農園体験もそうで、子供を大切にしたい。美味しいものをなるべく食べてもらいたい。高いものということじゃなくて。
その味覚がわからないと、うちの商売も成り立たないですからね。
イ:確かにそうかもしれないですね。
茂:「スーパーの苺は食べないけど茂木農園さんの苺は食べるよ」って、お客さんによく言われるのですが、それが「どっちでも良い。」となっていくのは困るなと思うんです。美味しい苺を作る意味もなくなってしまう。だから、なるべく良いものをみんなに食べてもらいたい。
※茂木農園の直売所。24時間購入できるように自動販売機も設置
イ:最後に、茂木農園の今後の展望とかがあれば教えていただきたいです。
茂:次のこと、次のことって、どんどんやっちゃうからな。やりたいことがありすぎて困っています。
イ:仕事がたくさんあって忙しいのに、やりたいことがどんどん出てくるのはすごいですね。
茂:でも、いち農家として一番思うのは、これからも喜んでもらえるものを作っていきたいですね。
町外のお客さんもそうですが、まずは町の子供たちに。
イ:茂木農園さんの苺には、身近な人に美味しいと喜んでもらいたいという情熱が詰まっているんですね。
今日は貴重なお話をありがとうございました。
しあわせいちご茂木農園
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(インタビュー・記事:富澤雄河)